2012年10月29日

トキソプラズマ感染を予防するために


今年はトキソプラズマのテレビ露出が多いですね。大変良いことだと思います。
こうして多くの人がトキソを認識してくれれば、感染の機会は確実に減らせます。
今回は、トキソプラズマを予防するために気をつけることを書いてみたいと思います。


トキソの感染ルートは主に3通りあります。
生肉・ネコ・土壌 の3つです。
ここから分かる、妊娠中に特に気をつけることは以下の通り。




①生肉を食べない
肉は全て危険です。馬刺も、クジラ刺も、理論上感染の危険があります。
レバ刺し、ヤギ刺なんてもってのほか。鶏刺もだめね。
なぜ危険かというと、トキソは筋肉や脳にシストというカプセルを作っていて、
これは人間の消化液では破壊出来ないのです。
シストを食べると、腸でカプセルがはじけて中からトキソが出てきます。
これが腸管壁から体内に侵入すると、感染成立となります。


②ネコとの接触を避ける
もう1つの感染源は、ネコの糞です。
ネコの糞にはオーシストというカプセルがあり、やはりトキソが入っています。
では、なぜネコの糞だけが危険なのでしょうか。
トキソは通常は肉の中に居ますが、この状態では大人になることが出来ません。
ずっと幼虫のような状態で、細胞分裂で増え続けるのです。
その肉をネコが食べると、トキソは初めて大人になり、精子と卵子を作ります。
この二つが受精すると、子どもトキソが誕生します。
丈夫なオーシストに包まれた子供達は、糞と一緒に外界に排出されます。
トキソが大人になれるのはネコの腸内だけ。
だからネコの糞は危ないのです。


③ガーデニングでは手袋を着用
ネコの糞は土のなかにまざります。
オーシストは、湿った土の中では数ヶ月も生き続けます。
ガーデニングで土に触れると、その中のオーシストに感染する危険があります。


④海外旅行は避ける

日本ではトキソプラズマはまれな病気です。
(実は日本でも1000万人以上の人が感染していると言われますが)
しかし、海外では違うのです。
例えば、フランスのトキソプラズマ感染率は80〜90%にもなります。
南米ではしばしばトキソの集団感染が報告されます。
外国旅行は、妊娠中は避けた方が無難でしょう。


以上①〜④は、感染の可能性があるものを全て列挙しています。
危険性は自分で判断し、それに伴うリスクを受け入れることが重要です。
また、実際どのくらい危険なのか、まだ分かっていないことも多いのが現状です。
例えばレバ刺しのトキソ検査ですが、恐らく検査漏れがあると思われます。
一次検査が目視で行われ、全頭検査が行われていないからです。
しかし、全頭検査には莫大な手間とお金が掛かるのです。
すべて検査するのが良いのではなく、自分で勉強して
リスクを認識することがなにより大切です。

また、
世の中には、ネコがトキソを排出する期間はごく短期間だ!
ネコを悪者にするな!
とお怒りのブログもあります。
しかし、私はペットより自分の子供の命を優先したいです。
異論もあるでしょうが、それが人間として自然な態度ではないでしょうか。
別に捨てろというわけではない。少しの間、実家に預けるなり、
旦那さんに世話してもらえばよいのです。
その位の我慢が出来ないのは、「ペットは家族」という美辞麗句を並べても
結局は親としての自覚の欠如、責任の放棄ではないでしょうか。


ちなみに、ネコと生肉のどちらが主な感染原なのかについては
まだはっきりとは分かっていません。
過去の統計では、トキソ感染率は猫のみでは説明出来ない、
つまり生肉が重要であることが示されています。
一方、アメリカのとある島では猫が生息していないのですが、
ここにはトキソがいないという研究もあり、これは猫の重要性を示しています。
更に、ヨーロッパと南米では感染経路に微妙なずれがあるようです。
南米では、汚染された水道水が原因の大規模感染がときおり報告されます。
これはオーシスト、つまりネコが主犯であることを示唆します。
一方ヨーロッパでは、このような水系アウトブレイクはまれな現象です。


ヨーロッパと南米では、同じトキソでも種類が違うことが最近判明しています。
伝播の違いも、もしかしたらトキソの種類と関係があるのかもしれません。


【まとめ】
とにかく、君子危うきに近寄らず。
子を持つ親として、これが最善の方策ではないでしょうか。



と、オフィシャルなブログならここで終わるところですが、
ここは個人のページなので少し細かいネタを。
長くなったのでまた次回に続きます。


汚染された水を飲用に!浄水器の使い方 につづく)

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