2012年10月17日

紅葉で大混雑の涸沢~穂高(核心はトイレ!)

山域:北アルプス・穂高連峰
期間:2012. 10/5-7 (初日は夜発)


体育の日の三連休は、上高地から涸沢に入っていました。
メンバーは私と、父。
非常に珍しい組み合わせです。これから何度あることか。
中高生時代では考えられなかったのですが、私も少しは成長したのかな?



出発は前夜発でした。
私の都合で、午後11時に東京・世田谷の自宅を出発。中央道で一路、沢渡を目指します。山梨中部までは父、そこからは私の運転で、夜2時半に駐車場に着。しかし、ここで早くも唖然としました。夜中なのに、道路に車がはみ出し、駐車場は満車。さすがは三連休です。仕方が無いので第二駐車場の奥に車を進め、しばし仮眠をとりました。

翌日は午前6時発・上高地行のシャトルバスで出発です。ここでも結構な行列が出来ていました。シャトルバスがひっきりなしに発着し、乗客をピストン輸送していました。この3日がかきいれ時なのでしょう。写真のように、100m近い行列が出来ていました。


この人の多さは、結局最後まで続くことになります。上高地から明神、徳沢、横尾まで、良く整備された歩道には人の行列が。ここはどこの駅?というくらいでした。前を歩くクライマーが北穂東尾根に登ると話しているのを聴き耳立てたり、適当に過ごしているといつの間にか横尾でした。しかし、ここはトイレに行列が…

これまで、人が多いとはいえ明神・徳沢で行列ができることはありませんでした。トイレの規模が同じなのにここだけ行列なのは、横尾以降は3時間まともなトイレがないので、出し切っていきたいという心理が働いたのかもしれませんね。いずれにせよ、混雑が予想されるときに登山される方は要注意です。ちなみに100m位並んでました。

横尾大橋を渡り、しばらくは平坦な道が継続します。そうしてしばらくすると、本谷橋に到着。これ、「ほんたにばし」と読むのですね。私はずっと、「もとやばし」と呼んでいました。確かに言われれば本谷だけど…ていうかみんな教えてよ…

ここで父が膝が痛いと言いだし、しばしダウン。ここでこれでは山頂など無理では…という気持ちは置いておいて、時間もあるので2時間くらい粘る覚悟で、私は昼寝。これが実に気持ち良かった(笑)。1時間くらいネバって、本人が行けるというので出発しました。ここで少し荷物を私のザックに移したのですが、出てくるのはレトルトのオデンやら、おにぎりやら、重たいものばかり…。軽量化しないと体力持たないよ、と言っておきましたが、なんでも去年来た時に涸沢ヒュッテのオデンが死ぬほどうまかったのだとか。まあ気持ちは分かるけどね。

やがて左側に屏風岩を眺めながら、道は高度を上げてきます。
初登ルートの雲稜ルートや、青白ハングも良く見えました。 その辺のおじさんによると、白い服のクライマーが壁にとりついているようなのですが、私は発見することができませんでした。残念。

屏風岩を攀じることなど、私にあるのでしょうか。アルパインの危険性や、今後の人生設計を考え直すと、下手をすると一生登れないかも知れない、などと真剣に考えていました。バカですねえ。

遠くに涸沢を見ながら登り続ける。やがてモレーン(氷河地形の一種で、カールの端に出来る土の盛り上がり)に達すると、眺めが急に良くなってきます。同時に周囲の木々が色づき始め、紅葉のトンネルのようで良い気分でした。



近くを歩いていた、若い男女の混成パーティーが楽しそうに会話しています。男の方が少し上級者のようで、色々と山の話をしていました。「綺麗だねー、歌でも歌いたいね。」、「○○くん歌とか歌おうよ」、「……キャンプだホイ、キャンプだホイ…」、こちらまで笑いそうになるのを堪えているうちに、涸沢着。

予想はしていたものの、すごいテント。どこにも設営する場所がありません。岩の辺りは完全に埋まっていたので、やや北穂側の草地を歩き回ると、なんとか一張り分のスペースを発見することが出来ました。


早速担ぎ上げたオデンを温め、夕食の準備です。おにぎりとオデンで満腹になってしまい、メインのショートパスタは作ることも無くザックに逆戻り。食料計画間違えたかな。そして寝る前にトイレに行こうとして、驚愕。なんとトイレからの行列がヒュッテを通過して天場の方まで続いています。優に100mは越えているでしょうか。しかも悪いことに私はキジの方…。どのような地獄だったかは想像がつくでしょう。結局30分は並びました。

夜中、テントを叩く雨の音で目が覚めました。明日の朝までに止んでいるといいなあ。

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さて、翌朝。外を見て驚きました。


雪。
稜線部が雪に覆われています。
ザイテングラードの取り付きなど、エベレストの中腹みたいになっています。
こりゃだめだと3分で撤退決定。早々にふて寝体勢に入りました。


しかし良く見ると、綺麗ですね。3段紅葉というのを、初めてにしてみることが出来ました。



という訳で撤退なのですが、実は朝食の頃まではアタックする気でした。当然ですよね、暗いうちに起きるので、雪は見えないから…。で朝のアレをと思いついて、嫌〜な予感。小屋に行くと案の定100mの行列でした。いや200mか?
朝方の30分は地味に辛いです。行動計画に響きます。この日も私のせいで出発が30分遅れ、かなりぎりぎりになってしまいました。なんとも予想外なタイムロス、混雑する時期には携帯トイレを持参するのも一考かも知れません。トイレ待ちに限らず、山頂部の湿原やお花畑はその辺で撃たない方が自然に優しいですから。特に中部山岳地帯は超オーバーユースなのと、高山植物は栄養が多すぎると根が焼けて枯れるので必携ではと思います。自分の分身が自然破壊するなんて嫌でしょう?

ちなみに、フリークライミングの聖地ヨセミテ渓谷では、キジはおろか小さい方も持ち帰りが厳格に守られているそうです。クライミングしている間中、下から国立公園の監視官が双眼鏡で見ているそうな。入り口で渡される竹筒みたいな入れ物に、大も小も納めるそうですよ…。

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帰りはおとなしく、昨日登った道を引き返します。北穂なら行けたかな…などと後悔がよぎりますが、仕方がないのでサクサク下山しました。たまに現れるナナカマドの紅葉が、悔しい心持を癒してくれました。

さっさと徳沢園に到着。おみやげを買い込んだりして、完全に観光客モードに入ります。徳沢園は、井上靖の小説「氷壁」の舞台にもなった由緒正しい山小屋(?)で、除いた感じではとてもおしゃれで綺麗な所でした。聞いた話ではお風呂もあるそうです。

今年の穂高は、結局ピークを踏むことができず、その意味では残念な山行でした。しかし、始めて訪れた涸沢で素晴らしい紅葉が見られたこと、普段は中々無い、父との二人旅が出来たことを考えると、なかなか上出来の山旅だったとも思います。家族が希薄になったと言われる現代、山という、より原始に近い非日常で、親子の絆を温めてみると言うのもまた良い山行のかたちではないでしょうか。

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